遺族×税務署

過去の関係の清算

社長の妻の主張

家族思いの優しい夫だと思っていたのに、何もかも信用することができません。楽しい思い出も子供への愛情も全て嘘だと思えてくるのです。こう言っては大変申しわけないのですが、義理のお父さんお母さんも知っていたのではないかと疑ってしまいます。こんな疑心暗鬼の状態では、子供と会わせることも躊躇ってしまいますよね。今までの結婚生活は何だったのかと、本当に悲しくなります。課税されなかったことだけが幸いです。

税務署の主張

遺族の方には、使途不明金の存在をお伝えしました。ご家族には一切心当たりがないとのことでしたので、裏でこの資金の流れを調べさせてもらいました。結果、行き先が掴めましたので、ご家族ではなくそちらで処理をさせてもらいました。

家族のお金

社長の妻の主張

確かに亡くなった主人が家庭に入れていたお金ですが、私腹を肥やそうと思って自分の口座に入れていたわけではなく、お給料を貯金していただけです。そのお金に相続税がかかるなんて、どうしても納得がいきません。税理士の先生に相談しても、税務署に指摘されれば払うしかないとの一点張りです。収入がなくなって将来が不安な上に、更に追加で課税されてしまい、本当にどうしていいかわかりません。

税務署の主張

これは典型的な「名義預金」です。もし、社長の個人口座に預金されていたら、有無を言わず財産と認定されて相続税がかかります。20年という期間があるとはいえ、専業主婦である妻が、1億円もの預金が出来たとは考えられません。意図的とは言いませんが、ある意味わかりやすい隠し財産と認定できるでしょう。無論、相続税をお支払いいただくことになります。